令和3年10月3日

 私たちは、日本の首都東京を舞台に新しい政治のあり方、国家運営の道を希求する寛容な保守改革政党である。

 我が国は近年、国際競争力の低下を余儀なくされ続けてきた。バブル経済の崩壊以後、失われた三十年を経て、膨張した国の借金はいまや国家財政を圧迫し、産業は空洞化、上場企業の時価総額もグローバル社会の中で相対的な順位を下げ続けている。このままでは我が国の未来に希望はない。

 また、私たちが今向き合っているのが新型コロナウイルス感染症との戦いである。世界規模かつ未曾有の感染症との戦いの中、相次ぐ政治の不祥事、非建設的な議論の続く国会、独善的な国政運営など、長引く政治の混乱に、国民の期待や信頼は地に落ちている。

 また、感染症との戦いを通じて浮き彫りになったのが地方分権体制の課題である。そもそも地方分権が不十分なため実現できることは限られ、とりわけ新型コロナウイルス感染症への取り組みを進める中で財源・権限・情報の制約があり、地方自治体のスピード感ある対応を阻害する要因にすらなった。私たちはこの事態を深く憂いている。

 地域政党「都民ファーストの会」は東京大改革の旗を掲げ、平成29年1月の設立以来、待機児童の大幅減少、都独自の受動喫煙防止条例を始めとする議員提案条例、議員公用車の縮減や政務活動費の使途の透明化などの議会改革を実現してきた。

 そしてさらにまた、今こそ未来に向けての責任を果たすために自ら崖から飛びおりる覚悟で、具体の行動に移さねばならない。国力の低下が顕著な我が国の中でも、東京は現時点で何とか国際競争力を保っている。国際都市東京の活力を引き出し、技術革新をはじめとするイノベーションを生み、経済、文化、情報を全国に還流させることで、我が国を牽引していくことが、今の国政政党にできるだろうか。毎年7800億円もの都民の税金を不当に収奪し、都外で使うことを恒久的に定めた国の偏在是正措置は、日本の首都であり経済のエンジンである東京の活力を奪うものである。東京23区内の大学の定員増を禁止する措置は、学術分野における日本の競争力を奪うものである。こうした暴挙に対して異を唱え、日本を牽引する都市東京を中心に、より良い国づくりをしていくことは、私たちの責務だと考える。

 私たちが基軸に据えるのは「国民ファースト」「情報公開」「賢い支出(ワイズスペンディング)」そして「持続可能性」の四つの大原則である。

 まず、政治の第一目的は、国民の利益を最大化すること以外になく、一部の人間や集団の利益のために政治があってはならない。多くの国民の期待を受けて、大義と共感の政治を行っていくこと、「国民ファースト」の視点に立って政策を実現していくことが私たちの責務である。

 次に、国民のための政治を行うにあたって、説明責任を果たさない独善的な政治運営や、官僚による忖度政治から脱却するため、「情報公開」を強く意識した国家運営を行っていく。

 また、巨額の借金にあえぐ我が国の財政状況の下で必要不可欠なのが「賢い支出(ワイズスペンディング)」である。エビデンスベースの政策立案を行い、国民の声を聴き、考え、実行する、そして改めて国民の声に耳を澄ませ検証する。私たちの政策立案サイクルは絶えずこのプロセスの連続になる。

 そして、少子高齢化社会の急速な進展と人口減少の中で、私たちが目指すのは将来世代へ負担を掛けない持続可能な社会である。

実現したい未来

 グローバル化が進んだ冷戦後の国際社会の中で、平和と安全を守るために我が国が果たしていく役割は、平和主義を掲げ、アジア諸国をはじめとする多くの国々の発展に貢献してきた国際社会からの信頼をもってリーダーシップを果たしていくことである。一方で、激変する安全保障環境の中で、専守防衛を旨としながら現実的な態勢の整備を進める必要がある。これまで人類の紛争の歴史は、水と食料とエネルギーの奪い合いに起因し、未だその解決策を見出していない。我が国は、科学力と包摂力で、この奪い合いに答えを出す。それが、私たちが希求する平和な姿である。

 国内に目を向ければ、我が国の中央集権的な統治機構は、硬直化の一途を辿っている。地方分権が進まないことによる弊害は、当然ながら東京都だけが抱える問題ではない。

 明治期に構築された強力な中央集権体制は、限られた資源を集中投下する際の効果的な体制であり、我が国の近代化や戦後復興等に寄与してきた。しかしながら、人口減少局面を既に迎えた成熟期の我が国において、これまでの体制は、各地域がもつ固有の価値や魅力を活かしながら、持続可能かつ自立的な行政運営を行うことに対する足かせになりかねない。

 財源を国が握り、補助金などの形で地方に配分する手法は、地方が知恵を絞って地域を経営する自治制度を弱めることにつながり、地方から活力を奪っていると言わざるを得ない。時代の変化に合わせ、財源・権限を含めた地方分権を進める必要がある。私たちは、地方分権を力強く進め、多様で特色ある我が国の国土の魅力を引き出し、未来に向けた価値を創出していく。

 また、我が国が現在、最も必要としていることの一つに多様性(ダイバーシティ)と包摂性(ソーシャル・インクルージョン)がある。これらは未来に繋がる豊かな社会を創る原動力になるものである。私たちは女性、若者、子ども、シニア、障がい者、性的マイノリティ(LGBTQ)などの多様性を大切にし、「人」への投資を最重要視していく。先進国の中で最低レベルにある我が国のジェンダーギャップ指数の向上についても優先的に取組むべき喫緊の課題である。

 私たちは、こうした取組を強力に推進し、誰もが生き生きと活躍できる社会を必ずや実現していく。